キミタケ「お疲れ様です…キミタケと…申します…うーん…」
ハリテヤマ「おい、大丈夫か?まだうなされてんのかよ」
ハリテヤマ「キミタケが謎の高熱で寝込んではや二日が経つのか。助けてやりてーけど、原因がわからないんじゃ手の施しようもないぜ。ハリテヤマ族が知恵に長けた種族でないことも相まって状況は絶望的だ。誰かどうにかしてくれないもんか?」
バサッバサッ…
???「ホッホッホ!地を這う者達、ごきげんよう!」
オトシドリ「私です!オトシドリですよ!」
ハリテヤマ「おっおう…お前か…どうしたんだ?結論から言うとお前に構ってる時間はないんだが…」
オトシドリ「ムキ!救いの翼が差し伸べられんとしているのがわからないのですか?キミタケが病に臥せっていると風の噂で聞きつけ、わざわざ駆けつけてやったのです。むしろ感謝してもらいたいものです。それで?容態は?」
ハリテヤマ「おう。原因がわからねーしキミタケもすっかりうなされちまってコミュニケーションが取れないんだよ。せめてキミタケから話が聞ければいいんだが…」
キミタケ「うーん…うむむむむ…」
オトシドリ「ふむふむ…意訳すると、『オトシドリは大空の宝石だ』と、まあそういう旨の事が言いたい様ですね。」
ハリテヤマ「何の意を訳したんだよ。ふざけてんじゃねーよ。もういいよ。少し危険かもしれないけど、何とか病院まで連れてこう。」
ビビビビビ…(突然の電子音)
ハリテヤマ「何だお前!」
???「ビビビビビ…」
テツノカシラ「ワレハ、テツノカシラ、ダ」
オトシドリ「誰ですか?」
ハリテヤマ「ああ…こいつはアレじゃねえか。キミタケが最近GTSで交換してもらったIron Crownくんだ。急に現れて一体どうしたんだ?」
テツノカシラ「マスター、キミタケノ生命反応ガ微弱ニナリツツアル。サイコPOWERニヨル原因分析終了ニツキ、報告ヲ、オコナウ。」
ハリテヤマ「おお!突然助かるぜ。」
テツノカシラ「体内炎症ニヨリ、栄養吸収率、低下。栄養失調。炎症緩和ガ期待サレル食材ヲ摂取スル必要アリ。」
オトシドリ「なるほど。身体の炎症を治さないと栄養が上手く摂れない状態になっていたのですか。可哀想に。それで?テツノカシラ、キミタケには何を食べさせればいいのです?」
テツノカシラ「総合的ナ基準カラ計算―――出力完了。ハッコウシティ、デ販売シテイル『ふんだん!チーゴの実トッピング牛丼』(略称:チー牛)ガイイダロウ。」
ハリテヤマ「マジか。まあ多分本当なんだろうな。早速買いに行こう。ハッコウシティの牛丼屋ならキミタケがよく行ってたから場所はわかるぜ。ありがとな、テツノカシラ!後は任せてくれ!」
オトシドリ「ふむ、まあまあの仕事でした。では早速行きますよ、ハリテヤマ!」
テツノカシラ「イイワスレテイタガ、キミタケノ寿命ハ推定20分。イソイデクレ。」
ハリテヤマ「えっ❗️❓」
オトシドリ「えっ❗️❓」
ハリテヤマ「はあはあ…こんな速度で走ったの初めてだぜ。すばやさ種族値の限界を超えた気がする。何とかチー牛(590円)を買えたな。」
オトシドリ「後は戻るだけです。何事も無ければ間に合うはずでしょう…」
オトシドリ「ムム!何やら妙なポケモンが現れましたよ!」
???「どひ!どひ!」
オトシドリ「何ですか貴方は!退きなさい!」
ハリテヤマ「ん?ああ、コイツはキミタケが知り合いのトレーナーに交換してもらったドヒドイデじゃねえか。一体どうしたんだ?」
HBドヒドイデちゃん「どひ〜どひ!」
オトシドリ「真面目に翻訳すると…『遊ぼう!』と言っているようです。何言ってんですか。状況分かってます?イカれてるんですか?」
ドヒドイデちゃん「どひ♡」
ハリテヤマ「全然道を譲ってくれないぜ。な、何考えてんだこのポケモン。」
オトシドリ「…あ、私理解しましたよ。あまり考えたくありませんが。」
ハリテヤマ「何かわかったのかオトシドリ。よくわかんねーけどさっさと退いてもらわなきゃ困るぜ。」
オトシドリ「いいですか?このドヒドイデは…受けルーパーの方からキミタケに譲られたドヒドイデなのです。」
ハリテヤマ「おう、知ってるぜ。それがどうかしたのか?」
オトシドリ「受けルーパーという人種は、基本的には制限時間いっぱいを使ってジワジワと相手を嬲り頃すやり口を得意としています。その戦術を得意とするトレーナーの元で生まれたポケモンは、基本的に遅延行為を遊びのように楽しみ、なんの躊躇いも感じない感性を持っているのです。」
オトシドリ「このドヒドイデは…キミタケのTOD(タイムオーバーデス)を狙っているのです。恐らくは無邪気に、何の悪意も無く。むしろTODを完遂すれば褒められるとでも思っているのでしょう。まだ若いポケモンのようですから。」
ハリテヤマ「ば、馬鹿な。そんなのポケモンじゃねえよ。悪魔じゃねえか。」
オトシドリ「ですが事実です。このまま粘られればキミタケの命はないでしょう。」
ハリテヤマ「…守りの堅いドヒドイデを崩すことは容易じゃねえぞ。一体どうすりゃいいんだ!」
オトシドリ「落ち着きなさい。チャンスは一度きりです。私と貴方の最高火力を叩き込み、一撃でノックアウトさせるのです!ドヒドイデには悪いですがこの際仕方ありません!」
ハリテヤマ「そう…だな。俺とお前はブルベリーグ攻略の時タッグを組んだこともあった。何だかんだ言って俺とお前なら…やれるよな。やってやろうぜ!」
オトシドリ「ホッホッホ…貴方と共闘など、これで最後にしたいものですね!では行きますよ!私に合わせなさい!」
オトシドリ「貴方の堅固な守りを貫きましょう!ブレイブバーーーード!!!」
オトシドリ&ハリテヤマ「うおおおおおおお!!!!!」
ドヒドイデちゃん「自己再生w」
オトシドリ「結局あのドヒドイデを倒すのに20分掛かりましたね。」
ハリテヤマ「ああ。でも仕方ないぜ。キミタケは多分氏んじまったけど、俺達ポケモンは前を向いて生きていくしかない。帰ってキミタケの墓を作ろう。それで…このチー牛を備えてやろうぜ。」
オトシドリ「残念です。キミタケはまだまだ生きてすべきことがあった人間でした。しばらくは生き物に岩でも落としまくって気持ちを切り替えることに専念します。」
ハリテヤマ「あーあ。これからどうしたもんかな。あ、そろそろ着くぜ。」
オトシドリ「ですね。…おや?家の灯りが付いていますよ?」
???「ふふふ…」
ハリテヤマ「おっお前は!」
キミタケ「お疲れ様です!キミタケと申します!」
ハリテヤマ「うおおおおおおお!」
オトシドリ「早速化けて出ましたか!会えて嬉しいですよ、キミタケ!」
キミタケ「違うよ〜本物だよ!」
オトシドリ「馬鹿な、氏んだはずでは?どうして生きているんです?」
キミタケ「テツノカシラが喋ってるあたりで、ぼんやりしてたけど意識が覚醒し始めてね。慌ててバックに入ってたチーゴの実をかき集めて50個くらい食べて、まっさら餅をそのまま齧ってたら熱が下がってきたんだよ。危なかったな〜。」
ハリテヤマ「そりゃ良かったぜ。でもよ…俺達失敗しちまったんだよ。お前の友達として合わせる顔がないぜ。」
オトシドリ「むう…この私が付いていながら、不覚です。」
キミタケ「そんなことないよ。大切なのは、どんな結果になったとしても、やっぱり気持ちだよ。心から私を助けたいと思ってくれたこと、すごく嬉しく思います。ハリテヤマ、オトシドリ、ありがとう。お買い物大作戦は大成功だよ!」
ハリテヤマ「…ハハハ、そうだな。お前が助かったんだからそれでいいよな!これからはバトルでお前を助けてやるぜ!」
オトシドリ「ホッホッホ!なら快気祝いと行きましょうか!ここにいいチー牛がありますよ!」
キミタケ「トホホ〜もうチーゴの実は懲り懲りだよ〜」
ハリテヤマ&オトシドリ&テツノカシラ&ドヒドイデ&キョジオーン「ハハハハハハハハハ!」
そうしてキミタケ達はみんなで一人前のチー牛を分け合い、食べたのでした。チーゴの実はとても苦かったけど、忘れられない思い出になったそうです。
〜完〜